日本ダービー2017(東京芝2400m)の全頭診断part1です。
5月28日に東京競馬場で開催され発走時刻は15:40です。今回取り上げるのはアドミラブル、アメリカズカップ、アルアイン、ウインブライト、カデナ、キョウヘイの6頭。東京競馬場の芝2400mで行われるGI戦です。
1年で最も注目されるレースということで久しくやっていなかった全頭診断やります。全18頭を3回に分けて6頭ずつ行こうと思います。初っ端から有力馬多数なのでおヒマな時にご覧ください。
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5月28日(日)今月の最大レース『第84回日本ダービーG1』
優勝賞金は2億円!最強の3歳馬を決めるレースです。
3連単が106万馬券となった皐月賞組馬が注目を浴びていて、
人気薄の馬が本当の強さを証明しました。
日本ダービーの人気馬は、皐月賞で優勝したアルアイン。
皐月賞2着のペルシアンナイト。
皐月賞では12番人気だったが3着入線と強さを見せたダンビュライト。
毎日杯や青葉賞で実力を発揮したサトノアーサーやアドミラブルも注目です。
どの馬が勝てるのか?ここで一つ注目項目があります。「距離です」
皐月賞は2,000m
日本ダービーは2,400m
この400mの差はレース展開を崩します。
つまり、皐月賞や他のレースで実力を残した馬だから勝てる。
という簡単なレースではないんです!!
JRAオッズは前レースの結果から人気が集中するため、結果としてアルアインが注目されます。
しかし、本当にアルアインは勝てるのでしょうか?
2,400mを走り切れるのか?他の馬との相性は?枠順は適性か?
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日本ダービー 2017 全頭診断part1
アドミラブル
基本データ
父 | ディープインパクト |
母 | スカーレット |
母父 | シンボリクリスエス(ロベルト系) |
厩舎 | 音無秀孝 |
馬主 | 近藤英子 |
生産 | ノーザンファーム |
誕生 | 3月23日 |
近親 | イサベル |
騎手 | ミルコ・デムーロ |
今年のディープインパクト産駒の大将格的存在。自身のこだわりが強すぎて賞金面でボーダーをクリアできずに素質馬をクラシックに送り込めていない状況が続いていた音無調教師にとっては久々にダービーを意識できる存在(その前回のヒストリカルはダービーで意味不明な大敗を喫していますが・・・)
デビュー戦はレベル低い世代の中では最もメンバーレベルが高かったと言えるムーヴザワールドの新馬戦を大敗。といってもそれは喉鳴りの影響でまともに走れる状況ではなかったのが敗因。しっかりと建て直されてからは未勝利を重賞並みの時計でタイムランクAで快勝し、アザレア賞、青葉賞と圧巻の競馬で連勝して日本ダービーを1番人気で臨むことになりそうです。
血統詳細
個人的にこの馬が全く好きになれないのは配合が完全に好みではないから。
ディープインパクト産駒にとって鬼門とも言える母父ロベルト、グレイソヴリン、サドラーズウェルズというTHE重めの血統を全て含んでおり、この馬は現時点こそディープインパクトの良さが出ていますが、古馬になれば母系が出すぎてさっぱりダメになりそう。
もともとシンボリクリスエスという種牡馬自体にスピードを伝える能力が不足していそうな印象ありますし、母父としていかにも頼りない印象。母父ロベルトのディープインパクト産駒はそれだけで嫌いたいのですが、近年はサトノラーゼンやディーマジェスティなどダービー活躍馬が出ており、少なくとも3歳の5月時点では父ディープインパクトの良さが勝つと見て良さそう。
アザレア賞ではスローペースから33.5の上がりを使って勝利しましたが、この配合でキレが真骨頂という馬では間違いなくないはずで、未勝利戦や青葉賞のようなスーパーポテンシャル勝負になってこその馬だと思います。
それだけに昨年のディーマジェスティのように淀みなく流れる皐月賞のペースこそこの馬向きだったはずで、喉鳴りの影響で出世が遅れて皐月賞に間に合わなかったのは本馬にとっては致命的か。
青葉賞というレースは日本ダービーと同じ条件で行われますが、レース質はだいぶ重めですし、極限の瞬発力を要求されるレースへの対応力は少し疑問が残ります。
総評
持って秘めたるポテンシャルは間違いなく今回のメンバーでも最上位級。青葉賞のパフォーマンスを見ても昨年のヴァンキッシュランくらいの能力は持っていると思います。ただ、そのヴァンキッシュラン程度でダービー1番人気に推されるのが今年のメンバーレベルということか。
血統的不安を散々述べましたが、この馬は戦法やローテーションも不安満載。
まずどう考えても3ヶ月間に2400mを3回走るローテーションは酷すぎる。青葉賞ローテが日本ダービーで鬼門と言われるのは、青葉賞よりも皐月賞の方がレベルが高いというのもありますが、3歳5月時点で1ヶ月間隔で2回も東京芝2400mを走るのはかなり厳しいというのがありそう。
アザレア賞→青葉賞→日本ダービーのローテーションはここ2年でレーヴミストラルとヴァンキッシュランが本番でも穴人気の立場となりましたが、明らかに青葉賞よりもパフォーマンスを落とした形でダービーは入線。青葉賞時点でのパフォーマンスがいかに凄くてももう日本ダービー時には余力がないというケースが今回も多分にありそう。
そして、この馬に関しては3連勝全てが外を回してのポテンシャル勝負に持ち込んでの勝利というところも頂けない。前述の通り、この馬は母系がロベルト、グレイソヴリン、サドラーズウェルズとコテコテの重さを持ったディープインパクト産駒。カデナのようなスッと抜け出す脚は使えないはずで、だからこそ自分で外から動いてポテンシャル勝負で抜け出す競馬は得意なはず。一方でフルゲート戦で器用さを求められるレースは合いそうになく、立ち回りの上手さを要求されるような日本ダービー向きの馬ではない。
3連勝の内容を見てもほぼ全レースでスタートで半歩出遅れており、今回もまず後ろからの競馬になるか。デムーロは青葉賞で「ダービーの予行演習をした」と言っており、どうもいつものデムーロとは違う印象も抱く。基本的にデムーロは大レースで他の騎手よりも積極的にポジションを取りに行く騎手。あのドゥラメンテも折り合いを欠くリスクをおかしても位置を取りに行った騎手ですし、そんな騎手が青葉賞で意識的に後ろに下げるというのも本当にそうなのかなぁと思うところ。
音無調教師はとにかく差しフェチでミッキーアイルでさえ逃げの競馬を最後まで嫌っていたような人。ヒストリカルのような後ろからズドンという馬が大好きなはずで、青葉賞もデムーロにはそのような指示を与えていた可能性あり。青葉賞は結果的にハイペースのスーパーポテンシャル勝負になったので後ろで控えていたことが功を奏したが、日本ダービーはフルゲート戦になりそんな中で後ろで構えて外をぶん回すような競馬で上位に来れるとは思えない。
ミルコ・デムーロというパワプロで言えば「大レース◎」の特殊能力がついているような絶対的鞍上が乗るというのは無視できないことだが、明らかに瞬発力に欠ける血統背景、馬群の中での競馬が苦手そうなところ、スタートの遅さ、厳しいローテーション、調教師のこだわりなどを考えても重い印を打つ気は全くおきない。
アメリカズカップ
基本データ
父 | マンハッタンカフェ |
母 | ベガスナイト |
母父 | コロナズドクエスト(ミスプロ系) |
厩舎 | 音無秀孝 |
馬主 | 谷掛龍夫 |
生産 | 社台ファーム |
誕生 | 2月7日 |
近親 | ユッカマウンテン |
騎手 | 松若風馬 |
デビュー戦の勝利で騒がれていたが、大して強い馬じゃないなぁと当時から思っていただけにこの馬がきさらぎ賞を勝ってしまってダービーに出てしまうという事実がこの世代のレベルの低さを物語っているような物差し馬な印象。
差しフェチでとにかく前に行かせるのを嫌がる音無調教師ですら「キレないから前々の競馬」というような馬で、積極果敢に乗る若手のホープ松若騎手とも手が合っている印象だ。
血統詳細
母はダート2勝で兄弟を見てもマイル〜1800mくらいで渋とさを活かして好走しているタイプが多い。
もうこの馬は「THEマンハッタンカフェ」という印象の馬で、とにかく基礎体力は豊富だが馬群の中での競馬がダメでスパッとキレないタイプ。それだけに道悪馬場で前々で競馬ができたきさらぎ賞は全てがハマったと見て良さそうだ。
総評
皐月賞はスタートの出遅れもあったがマンハッタンカフェ産駒の気難しさと、それ以上にそもそもの能力不足での大敗に映った内容。
トップスピードの絶対値に著しく欠けており、好走できるレースはトップスピードの質を問われない舞台だけか。その点できさらぎ賞は道悪馬場を先行で押し切りという考えられうる最高の展開になっており、この馬の生涯においてあれ以上に条件が揃うレースはもうないだろう。
そもそも能力的に日本ダービーに出るレベルではない馬。展開的にも厳しくなりそうですし、直線入り口でもう勝負圏内からは脱落していると見ます。
アルアイン
基本データ
父 | ディープインパクト |
母 | ドバイマジェスティ |
母父 | エッセンスオブドバイ(シアトルスルー系) |
厩舎 | 池江泰寿 |
馬主 | サンデーレーシング |
生産 | ノーザンファーム |
誕生 | 5月1日 |
近親 | ゴールドエッセンス |
騎手 | 松山弘平 |
今年の皐月賞馬。今年の牡馬レベルは基本的には低いと考えているが、皐月賞は超高速馬場にしても速い時計ですし、それを前々で押し切ったこの馬は世代ナンバーワン級の馬という評価でいいはず。
厩舎、生産、馬主ともに今の日本の競馬界のトップ中のトップですし、結局日本ダービーはこういう馬が勝ったりするもんだとも思いますが・・・
血統詳細
父ディープインパクトはもちろん日本ダービーで最も多く好走馬を出している種牡馬。
母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリントを勝った超良血。ディープインパクト産駒はダート短距離血統をつけるとスパッとディープの良さを引き出すタイプと、母系がはっきり出てダート馬っぽく出るタイプがいるが、この馬は完全に後者の方。
スッとは加速できないダート血統が前面に出たタイプの馬で、シンザン記念で前がどん詰まりになったのはその血統の悪い部分が出た形か。皐月賞はハイペースを前々で押し切ったような競馬だったが、それはダート短距離の良い部分が出た感じ。
デビューからのレースぶりを見ても父ディープインパクトの良さはそこまでない印象で、溜めてスパッとキレるイメージはない。
総評
持っているポテンシャル自体は世代トップクラスというのはアドミラブルと同じ評価。恐らくマイル路線ならば古馬GI級と見て良さそうで、スピードの持続力が問われるレースならば相当強そう。
ただ、前述の通りでこの馬は父ディープインパクトの持ち味である瞬発力に関してはあまり強調できなそうで、千両賞、毎日杯、皐月賞ともにスピードの持続力で勝利した感じ。日本ダービーはいくらペースが流れても最後は上質な瞬発力が問われる舞台ですし、あんまりこの馬は東京芝2400mに向いているイメージはありません。
毎日杯で先行押し切りの競馬をして、皐月賞でもハイペースを先行策でもかなり行きたがる素振り。血統背景を見てもベストはマイルという感じがしますし、高速決着になった年の皐月賞馬はダービーでは結果を残せないというのも有名な話。その皐月賞でのダメージも大きそうですし、なんだかんだで若手の松山騎手がこの舞台で平常心で乗れるかも微妙。人気を背負う立場ということを考えても積極的に買いたい馬ではありません
ウインブライト
基本データ
父 | ステイゴールド |
母 | サマーエタニティ |
母父 | アドマイヤコジーン(グレイソヴリン系) |
厩舎 | 畠山吉宏 |
馬主 | ウイン |
生産 | コスモヴューファーム |
誕生 | 5月12日 |
近親 | ウインファビラス |
騎手 | 松岡正海 |
恐らくは今年のマイネル軍団の中では岡田総帥が最もダービー馬に近い馬として期待しているのがこの馬でしょう。
未勝利戦で一変してからは若竹賞とスプリングSを連勝。皐月賞こそ結果が奮いませんでしたが、今までマイネル軍団が出走させてきた馬の中では、戦績、ローテーション、血統ともに一番しっくりくる気がします。
血統
父ステイゴールドはダービー馬オルフェーヴルを輩出しているように舞台適性は問題無し。この配合は全姉にウインファビラスが入る血統で活力もありますし、マイネル軍団が出走させてくる馬の中では稀有にダービーへの適性を感じます。
母父はグレイソヴリン=トニービン系統のアドマイヤコジーンなので、大系統的には距離の融通も効きそうですが、いかんせんアドマイヤコジーンがスプリンターだったのでその辺がどう出るか。全姉ウインファビラスもマイル前後を走っていますし、血統面では若干の距離不安はあります。
総評
未勝利を勝った時から「東京コースの長い距離でこその馬」と評価していた馬。
スッと加速できる上に伸び始めてからはグイグイと伸びるので、この馬は中山コースよりも東京コースの方が向きそう。距離も1800mの未勝利勝ち時点で間違いなく延びた方が良いと思っていたので、皐月賞の敗因は2000mの距離ではない。
皐月賞の敗因は高速馬場で外を回したことが全て、と見て良さそうで。それでも少差の8着ならば悲観する必要はない。スワーヴリチャードやカデナが皐月賞の敗戦を半ば度外視してある程度人気するのであれば、一気に人気が落ちそうなこの馬は面白い存在と言えそうだ。
と言っても能力的に抜けている馬というわけでもないので、いつぞやのマイネルフロストのようにインを立ち回れるような絶好枠を引きたいところ。
カデナ
基本データ
父 | ディープインパクト |
母 | フレンチリヴィエラ |
母父 | フレンチデピュティ(ヴァイスリージェント系) |
厩舎 | 中竹和也 |
馬主 | 前田幸治 |
生産 | グランド牧場 |
誕生 | 3月30日 |
近親 | スズカコーズウェイ |
騎手 | 福永祐一 |
新馬戦2着の時点でそこそこ活躍すると思っていた馬。
ただ、さすがに弥生賞終了時点でクラシックの最有力候補にまで推される馬になるとは全く思っていなかった。あまりにもメンバーがいないせいで相対的に主役に押し上げられてしまったという形か。
今年にダービーに出走してくるディープインパクト産駒の中ではいかにもディープらしい馬の類で、名前やオーナーを見てもいつぞやのキズナを思い起こさせるところもある。
血統詳細
母系の活力には欠ける印象だが、もう父ディープインパクト×母父ヴァイスリージェントという配合は黄金配合。
マカヒキ、ショウナンパンドラなどこの配合はとにかく父ディープインパクトの良さを引き出す素晴らしい配合(ヴァイスリージェント系でもクロフネは父譲りのドカドカ走りの馬が出てしまうのでダメ)
東京芝2400mを勝つには一流の決め手が必要で、その意味で今回の出走馬の中では最上位級に血統は評価できそう。少なくともアドミラブルあたりと比べれば同じディープインパクトでも真逆の評価になる。
総評
皐月賞は人気に推されたが予想通りの惨敗。いかにも軽いレース質向きの瞬発力勝負に秀でた馬で、こういう馬は2歳戦序盤のスローペース戦やトライアル戦に強い。
追走力問われるとダメになるタイプに見え、皐月賞もはじめて経験したハイペース戦で脚が溜まらなかったのが敗因。ただ、皐月賞の最大の敗因は向こう正面でペルシアンナイトが位置を押し上げたところで釣られて福永騎手も動いてしまったことだろう。あそこで脚を使ってしまったことで直線はさっぱり伸びなかった。
激流の流れになりやすい皐月賞よりは、道中ある程度緩む区間のある日本ダービーの方が適性的には上なはずで、今までどスローのレースでもピタッと折り合いついていたところを見ても2400mは全く問題ないはず。
レースの流れとしてはアドミラブルやレイデオロに向くミドル〜ハイペース戦になるよりは、エイシンフラッシュが勝った年のようなスローペースからの上がり勝負になった方が良さそうで、この馬の好走はある程度展開面にかかっているか。スッと加速できるので馬群は捌ける馬なので是が非でも内枠が欲しい。
キョウヘイ
基本データ
父 | リーチザクラウン |
母 | ショウナンアネーロ |
母父 | ダンスインザダーク(サンデーサイレンス系) |
厩舎 | 宮本博 |
馬主 | 瀬谷隆雄 |
生産 | 本桐牧場 |
誕生 | 4月22日 |
近親 | ビームライフル |
騎手 | 高倉稜 |
生産、馬主、厩舎、騎手共に日本ダービーにあまり縁のなさそうな印象。ちょっとさすがに厳しいだろう。
血統詳細
父リーチザクラウンはダービー2着。祖父スペシャルウィークはダービー馬で、母系の祖父ダンスインザダークはダービー2着というところを見てもそれなりにダービーに縁はある血統。
ただ、リーチザクラウン産駒としての血統的限界もありそうですし、何よりサンデーサイレンスの3×3という配合は狂気。ここ2戦の敗戦は良馬場でのスピード負けというのもありますが、この血統ゆえに好調期が短かったとも言えそうでさすがに評価できない。
総評
さすがにこれは記念出走だろう。道悪泥んこ馬場になればそれなりに上位は狙えるかもしれないが、トップスピードの質の差がありすぎる。
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一応、本命対抗ぐらいまでは絞れてきていますが、今回の考察メンバーの中ではこの馬が一番面白そうな感じがします。
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